犬の寄生虫

犬と暮らす際に気をつけなければいけないのが寄生虫。

「寄生虫ってどんな虫?」
「種類が多くてどう違うのか分からない」

寄生虫は知っているけど、具体的にどのような影響を及ぼすのか分からない、そんな飼い主さんもいるのではないでしょうか。

寄生虫には「内部寄生虫」と「外部寄生虫」の2種類がいます。
外部寄生虫はノミやダニのことを指すので、分かりやすいかと思います。

内部寄生虫はフィラリアや条虫、鉤虫など。
「腸内寄生虫」とも呼ばれる内部寄生虫は、動物の腸内に寄生します。
内部寄生虫は外部寄生虫と違い、目に見えず症状も出にくいので感染を見落としがちになります。

しかし寄生されればペットが苦しい思いをしますし、人間に感染するものもあります。
そうならないためにも早めの対処が必要です。

そこで、今回は内部寄生虫の種類や寄生された際の症状、予防法などを解説していきます。

フィラリア

フィラリアについては知っている方も多いかと思います。

フィラリアは、蚊を媒介して犬の体内に入り込む寄生虫です。
散歩や外飼いの犬にとって、蚊を媒介とするフィラリアは特に注意が必要。
いつ刺されて感染してもおかしくないでしょう。

フィラリアは体内に入ると、肺動脈や心臓に寄生します。
肺動脈や心臓に寄生すると、全身の血液循環や呼吸器系、肝臓、腎臓に機能障害が引き起るのです。

基本的に症状は長い時間をかけて慢性経過をたどりますが、末期状態まで悪化した場合や一度に大量に寄生した場合は命にかかわる危険もあります。

では、犬の死因としても多く挙げられるフィラリアは、具体的にどのような症状を引き起こすのでしょうか。

症状

フィラリアに寄生された場合に現れる症状をまとめます。

前述したとおり、フィラリアは肺動脈や心臓に寄生します。
寄生すると咳や運動を嫌がるなどの初期症状をはじめとし、様々な症状が現れ始めます。

  • カッカッと乾いた咳をする
  • 食欲不振
  • 散歩や運動を嫌がる
  • 毛づやが悪くなる

これらが主な初期症状として見られます。

さらに症状が進行すると「慢性犬糸状虫症」や「大静脈症候群」を引き起こす危険性があります。
この2つは重度な症状であったり、急性症で命の危険もあるので要注意です。

症状としては、かっ血や呼吸困難、腹水、ネフローゼ症候群など。
慢性犬糸状虫症の場合は2~3年、大静脈症候群の場合は数日以内に死に至る可能性が高いです。

原因

フィラリアに感染する原因は「蚊」です。

まず、蚊がフィラリアに感染している犬の血を吸血します。
そのときに、ミクロフィラリアというフィラリアの幼虫が蚊の体内に入り込みます。

その後、ミクロフィラリアを持った蚊が別の犬を刺します。
そうするとミクロフィラリアがその犬の体内に侵入し、感染するのです。

こうしてフィラリアに感染している犬から、感染していない犬にまで蚊を媒介に感染が広がっていきます。
犬の体内に侵入したミクロフィラリアは、血管内で成長して成虫になり肺動脈や心臓に寄生するのです。

予防・治療法

フィラリアは感染すると怖いですが、しっかり対策すれば完全に予防できます。
現在、フィラリア予防薬には飲み薬や滴下式のもの、注射など様々なタイプのものが出ています。
蚊の発生する季節になってきた際に予防薬を使用して、対策するようにしましょう。

飲み薬には犬が好む味がついたものもあり、滴下式は皮膚に垂らすだけなので投与は簡単になっています。
愛犬に合ったお薬を選んで使用してみましょう。

また感染した場合の治療法ですが、まず動物病院で検査を受けてください。
血液検査をして、血中にミクロフィラリアがいるかを検査します。

さらに超音波で心臓などに寄生している成虫の数を調べ、少ない場合は駆虫薬を飲ませます。
基本的にはこのように内科的治療になるでしょう。

しかし寄生している成虫の数が多い場合は、外科手術で中の虫を取り出します。

条虫

条虫は、サナダムシとも呼ばれる内部寄生虫です。
条虫には様々な種類が存在しますが、ここでは犬や猫に多く見られる「瓜実条虫」についてまとめます。

瓜実条虫はノミを媒介として体内に侵入する寄生虫で、消化管内寄生虫に分類されます。
片節という瓜実条虫の卵を含んだ袋がいくつも連なって、ひとつの寄生虫体になっているのです。
瓜実条虫を持ったノミなどを飲み込むことで感染します。

犬や猫の排せつ物などに、白く米粒のようなものが動いていたら、瓜実条虫の可能性が高いでしょう。
また瓜実条虫はズーノーシス(人獣共通感染症)といって、人間にも寄生する場合のある寄生虫です。

愛犬や自身を守るためにも、瓜実条虫はしっかり対策したいですね。

症状

犬が瓜実条虫に感染した場合、実は症状はほとんど現れないのです。
瓜実条虫は毒性も低いため、命にかかわる危険性もほぼないと言えるでしょう。

しかしこれは寄生数が少なかった場合です、
大量に寄生すると食欲不振や嘔吐、活動低下、下痢といった症状が現れます。

これらの症状は、他の病気の際にも初期症状などで見られることがあります。
そのため、これだけでは瓜実条虫が原因なのかは分かりませんが、瓜実条虫に感染した場合はもう一つ特徴的な症状があるのです。

それは肛門のかゆみです。
瓜実条虫に感染すると、片節が寄生した動物の肛門周辺に付くのです。
それが原因でかゆみが発生し、肛門の周辺を舐める、肛門を地面に擦り付けるなどの行動が見られるようになります。

また肛門から瓜実条虫の一部がはみ出ている、排せつ物に片節が混ざっている場合もあります。

原因

瓜実条虫は、ノミを媒介として経口感染します。
瓜実条虫をもったノミなど中間宿主を飲み込むことが原因で感染するのです。

ノミを飲み込んでしまう原因としては、毛づくろいが最も多いです。
ノミに吸血されるとかゆみが発生するので、体を舐めてノミを食べてしまうのです。

愛犬や飼い主さんが瓜実条虫に感染した場合、ノミが潜んでいることになります。
瓜実条虫とノミの両方とも対策するようにしましょう。

予防・治療法

瓜実条虫を予防したい場合は、飼育環境を清潔に保つことが大切です。
清潔にすることで身の回りにいるノミを減らすのです。
ノミが減れば、寄生されてしまう可能性をかなり減らすことができるでしょう。

また寄生されてしまった場合は、瓜実条虫の駆虫とノミの駆除を行います。
瓜実条虫の虫下しを投与し、ノミ駆除薬も使用してください。

寄生されても、特に症状が現れずそのまま便として対外に排泄される場合もあります。
その場合は治療など行わなくても問題ないでしょう。
ただ身の回りのノミには注意すると良いです。

鉤虫

鉤虫も犬や猫、人間にも寄生する内部寄生虫です。
鉤虫は「十二指腸虫」とも呼ばれており、様々な種類が存在します。
ここでは犬に寄生する鉤虫は「犬鉤虫」と呼ばれる種類です。

主に鉤虫は白い糸状の見た目で、体長は1~2㎝ほど。
動物の体内に入ると小腸に寄生し、粘膜に噛みついたり食べたり、また吸血することもあります。
鋭い牙を持った寄生虫のため、子犬や子猫の場合はショック死する危険性が考えられます。

鉤虫の場合、寄生されないように予防することが特に大切です。

症状

鉤虫に感染されると、猫に比べて犬のほうが重症化する傾向にあります。
また若いときに感染し発症するほど、症状は重くなると言われています。

症状としては下痢や血便、貧血、食欲不振、元気消失など様々です。
若い時に発症するほど重症化しやすいため、子犬で発症すると最悪の場合にはショック死を起こす危険性があります。
非常に危険な状態なので、母乳を欲しがらなくなったなどの様子が見られたら要注意でしょう。

すぐに動物病院で診てもらう必要があります。

原因

犬が鉤虫に寄生される原因は、ほとんどが経口感染によるものです。
鉤虫に感染した犬は、排せつ物を出す際に鉤虫の卵も一緒に排出します。

排出された卵は、良い環境が整っている場合、1日で孵化します。
孵化した鉤虫は土壌内で発育、1週間ほどで動物への感染能力を身に着けるのです。
こうして、感染能力を身に着けた幼虫が犬の口に入って感染が起こります。

子犬など免疫が低い場合は、すぐに小腸に行って寄生し、小腸で成虫へと成長します。
しかし免疫が十分に備わっている成犬などの場合は、小腸へは行かず組織内に留まるのです。

この留まった鉤虫は、寄生している犬が妊娠すると再活性化して胎盤や母乳へ。
母犬から子犬へ母子感染を起こす原因となります。

予防・治療法

犬の場合、鉤虫の感染はほとんどが経口感染ですが、皮膚から侵入する場合もあります。
そのため排せつ物などに口をつけさせていないからと安心はできません。

特に散歩中は注意しましょう。
鉤虫の幼虫は土壌内で発育しているため、コンクリートなど舗装されているところを散歩コースにすると、寄生される可能性を低くできます。
また他の動物の排せつ物にも触れさせないようにしてください。

母子感染の予防には、動物病院で検査を行うと良いです。
もし胎内に鉤虫が見つかった場合は、駆虫薬を投与してもらいましょう。

もし鉤虫に感染してしまった場合は、駆虫薬を使用してください。
貧血などを起こしている場合は、それぞれの症状に合った治療も受けましょう。

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