
猫の目の病気は涙や目ヤニが多く出るなど比較的発見しやすい病気もありますが、なんとなく見ているだけでは見逃してしまう病気もあります。
猫は人間のように言葉で想いを伝えることができないため、飼い主さんが気づかない間にも痛みや痒み、視力の低下に耐えていることもあります。
目の病気も、他の病気と同じように早期発見、早期治療を行うことで、症状が悪化することなく完治する病気もあれば、進行を遅らせることができる病気もあります。
また、猫は目が痒い時や痛い時に手で引っ掻いてしまったり、壁に擦りつけてしまうことがあります。
そうすると治りが遅くなってしまったり、症状が悪化する原因ともなります。
そのため、猫が普段と違う行動を取った場合は注意深く観察する必要があります。
目を擦ってしまう場合はエリザベスカラーを付けてあげるなどしてしっかり対策するようにしましょう。
最近では室内飼育の猫が増えており、病気や感染症の発症率も低くなりましたが、愛猫が健康で長生きできるのかどうかは飼い主さんの日々の行動にも左右されるのです。
愛猫の体質に合った良質なフード、ストレスを与えない生活環境、そして愛猫の異変に気づけるように日頃から観察することが大切です。
この記事では猫の目の病気に関する症状や原因、予防・治療方法について詳しく説明しています。
愛猫の目の様子がおかしいかも?と思った時などにぜひ参考にしてみて下さい!
白内障
人間の病気としてもよく耳にする白内障ですが、実は猫も白内障になることがあります。
白内障とは、眼球の中にある水晶体と呼ばれる透明な器官が何かしらの原因で変性してしまい、水晶体の一部、もしくは全部が白く濁ってしまう病気です。
水晶体が白く濁ってしまうことで、瞳が白くなるなどの視覚障害がでます。
そうすると、よく物にぶつかってしまったり、段差につまづいたり、暗い所を嫌がるようになります。
目が見えづらくなる分、臆病になりちょっとした物音にも敏感に反応したり、攻撃的になったりと行動にも変化が現れます。
ですが、白内障も早期発見し早期治療を行うことで病気の進行を遅らせることができます。
そのため、愛猫がよく物にぶつかるようになった、段差に躓くようになったなどの症状が現れたら早めに医療機関へ相談へ行くようにしましょう。
症状
白内障の主な症状として、
- よく物にぶつかる
- 段差を嫌がる
- よく躓く
- 暗い所を嫌がる
- ちょっとした物音に敏感に反応するようになった
- 瞳の中に白い物が見える
などが上げられます。
白内障にかかると水晶体が白濁し、見える世界も白くなってしまいます。
瞳の中の白い部分が大きくなればなるほど、視界が白に覆われてしまい視力の低下へと繋がります。
そうすると、慣れている場所であれば家具の配置などを記憶しているため物にぶつかることも少ないのですが、新しく設置したキャットタワーには全く興味を示さないなどの症状が見られます。
猫の性格からして、興味を全く示さないということも多々ありますが、その場合は動くおもちゃで一緒にじゃれてみて、動くものをちゃんと目で追えているのかなどを観察すると良いでしょう。
原因
猫の白内障は、人や犬に比べるととても稀な病気です。
原因は様々ありますが、多くは異物が目に入った、目に傷を追った、ブドウ膜炎が原因、先天性のものなどが考えられます。
もともと白内障には加齢により発症する「老年性白内障」と、若齢のうちに発症する「若年性白内障」に分けることができます。
加齢の場合は6歳以上の猫に発症することが多く、進行の程度は様々です。
若年性白内障の場合は、年齢は関係なく、遺伝的な要因が多いと言われています。
犬の場合は若年性白内障が多いと言われていますが、猫の場合はほとんど可能性としては低いようです。
そのため、猫の場合は、加齢よるもの、外傷や中毒、または糖尿病が原因による白内障が多いのです。
予防・治療
白内障が初期の段階ですと、点眼薬を使用し、病気の進行を遅らせることができます。
ですが、現代の医学では点眼薬だけで完治させることは難しく、根本的に病気を治療するならば手術が必要となります。
一般的に白内障の手術は、角膜を切り水晶体を摘出する方法か、超音波で水晶体を細かく砕き吸引し人工の眼内レンズを挿入する方法があるようです。
白内障は早期に発見し、適切な治療を受けさせることが大切です。
初期の段階で病気の進行を遅らせることで視力の低下を防ぎ、今までと変わらない生活を送らせることもできるのです。
そのため、愛猫の目の色や行動などをこまめにチェックするようにしましょう。
緑内障
緑内障とは、眼球の中にある房水と呼ばれる透明な液体がなんらかの原因によって流れが阻害され、眼圧が高くなる病気のことです。
眼圧が高くなることで、白目の部分が充血する、瞳孔の散大、角膜が白濁するなどの症状が出ます。
そうすると、普段なら簡単にすり抜けている隙間にぶつかってしまったり、軽々と超えていた段差にも躓いてしまったり、目を痛そうにしょぼしょぼさせたりといった症状が出ます。
さらに進行してしまうと失明の危険があるほど怖い病気なのです。
緑内障は予防することは難しいのですが、初期の段階で治療を行うことで、失明に至ることなく治療できる場合もあります。
もし飼っている愛猫がいつもと違う行動をしていたら十分に緑内障の可能性も考え、早めに受診するようにしましょう。
症状
緑内障の主な症状として、
- よく物にぶつかる
- 段差を嫌がる
- 涙が多くなる
- 白目が充血する
- 目をしょぼしょぼさせる
- 目を細める
- 食欲がなくなる
- 頭を触られるのを嫌がる
- 元気がなくなる
などの症状が出ます。
緑内障の場合、眼圧が上がることで物がよく見えなくなる、段差との境目が分からなくなるなどの視覚障害がでます。
また、目に痛みを伴うようになると目を痛そうにしょぼしょぼしたり、目を細めてみたり、白目が充血したり、涙が出たりします。
目が痛いため、頭を触られることを拒否したり、食欲がなくなる、元気もなくなるといった症状も出ます。
これらの症状が出ているのに放置してしまうと、だんだんと病気が進行し、最悪の場合は失明に至ることもあります。
原因
緑内障の原因は大きく分けると「原発性緑内障」と「続発性緑内障」と2つあります。
まず原発性緑内障の場合は、遺伝的な要因により目の構造に異常があり、眼房水が清浄量を超えてしまい貯留することで発生します。
ほとんどの場合、原発性緑内障は猫にでることはありません。
猫に多いのは、続発性緑内障でこれは眼圧が上昇することで発症します。
ブドウ膜炎から緑内障を発症するケースが多く、ブドウ膜炎は角膜に深く傷がついた状態が進行していくことから、猫の緑内障の多くの原因は外傷からくるものと考えられています。
他には、眼内腫瘍、高血圧なども原因として上げられます。
外傷の場合は、目から出血したり、目が充血したりと比較的気づくことのできる症状ですので、そういった症状が出たらすぐにでも病院へ連れて行くようにしましょう。
予防・治療
緑内障の場合、眼圧を下げるための内服薬や点眼薬、点滴を使用し眼圧降下の作用があるお薬を投与することが多いようです。
ですが、これらのお薬だけで症状や進行が抑えられない場合は、レーザー手術や義眼を挿入したりといった外科治療が必要となります。
緑内障を予防することは難しいのですが、初期の段階で早めに治療を受けることで、症状を深刻化することを防ぐことができます。
その場合は、上記で説明したお薬だけの治療で終わることが多く、重症化することも少ないのです。
その分愛猫への負担も減りますし、飼い主さんにかかる金銭的、体力的な負担も減らすことができます。
もし愛猫が目をしょぼしょぼさせていたり、目が充血している、腫れているなどの症状があればすぐに病院へ連れて行くようにしましょう。
角膜炎
角膜炎とは、目の黒目の部分の表面を覆っている角膜が炎症を起こしている状態のことです。
猫の場合は他の猫との喧嘩によって目に傷ができて角膜炎になることが多くあります。
その他には、異物が目に入った時に強く擦ってしまったり、また細菌やウイルス、アレルギーなどの感染症が原因で角膜が炎症を起こすこともあります。
角膜炎になると、目を痛がりしょぼしょぼと瞬きをしたり、涙や目ヤニがいつもより多くなる、重度な場合ですと、角膜が白く濁ってしまうこともあります。
角膜の表面だけの傷であれば早期に治ることも多いのですが、傷が深い場合は角膜表面だけでなく角膜腫瘍といい、角膜の深層部分にまで損傷が達してしまい、その分完治までには長期の時間を要することも多くなります。
症状
角膜炎の主な症状として、
- 目を痛そうにしょぼしょぼする
- 涙や目ヤニが多く出る
- 目を気にする素振りをする
- 目の周りに傷または出血がある
- 角膜が白く濁っている
などが上げられます。
多くの場合は目を痛がっている仕草をします。
角膜に傷が付くと傷の具合にもよりますが、痛みや涙、目ヤニが出ます。
ですが、こういった症状が出ている時は猫も気になって目を擦り、悪化してしまうこともあるため、これらの症状が出た場合は、エリザベスカラーなどを使用し、自分では擦れないようにするなどの対応をしましょう。
また、猫に代表的な猫ヘルペスウイルス感染症により角膜炎を引き起こすこともあります。
その場合には、他にも鼻炎や結膜炎、発熱、元気がなくなる、食欲がなくなる、咳が出るなどの風邪に似たような症状が出ます。
これらの症状が出た場合は、早めに他の猫と隔離するとともに病院へ連れて行くようにしましょう。
原因
猫の角膜炎の原因の多くは、他の猫とのケンカやじゃれ合いによってできる傷です。
また自分の爪で引っ掻いてしまうことや、家具などの物にぶつかってできる傷もあります。
傷の深さにより症状にも違いがあります。
他には細菌やウイルス、アレルギーなどの感染症が原因となる場合があります。
その場合、結膜炎や緑内障など角膜炎以外の他の眼の病気となっていることが多くあります。
ただ、ウイルスやアレルギーの場合は、目を痛がるなどの他に発熱や咳などの症状もでます。
また、ドライアイが原因で角膜に炎症を引き起こすこともあります。
その場合は、こまめに目薬を挿したり部屋の湿度を上げるなどして対策するようにしましょう。
予防・治療
角膜炎の治療は、原因により異なりますが、点眼液による治療が一般的なようです。
軽い場合であれば、点眼液や注射、内服薬などで済みますが、症状が悪化してしまうと角膜の手術が必要となる場合もあります。
角膜の傷は悪化するのが早く、治療が遅れてしまうと完治することが難しい病気ですので、早期に治療することが大切です。
感染症などが原因で角膜炎を起こしている場合には、感染症そのものの治療も平行して行います
角膜炎を予防することは難しいのですが、放置してしまうと愛猫の視力が低下したり、場合によっては失明を招く病気でもあります。
日頃から眼の周りをキレイにすると共に異変を感じた場合はすぐにかかりつけの病院へ相談するようにしましょう。
結膜炎
結膜炎は、まぶたの裏側にある結膜が炎症を起こしている状態のことです。
猫にかかりやすい病気の1つで、アレルギーや異物が眼に入ることによっても起こりますが、主に猫ヘルペスウイルス感染症やカリシウイルス感染症などが原因で結膜炎が起こります。
特に若い年齢の猫に起こりやすく、生まれて間もない子猫に見られるとが多い病気です。
結膜炎になると、眼の周りの粘膜である結膜が赤く腫れる、涙が出る、目ヤニがでるなどの症状がでます。
目が開かないくらい目ヤニがでることもあります。
結膜炎にかからないためには目の周りを清潔に保つことが大切で、他の病気が原因で結膜炎になっている場合は、原因となっている病気の治療も併せて行います。
症状
結膜炎の主な症状として、
- 目ヤニが多く出る
- 涙がでる
- まぶたが腫れる
- 結膜が赤い
- 目を痛そうにしょぼしょぼさせる
- 目を掻こうとする
などが上げられます。
結膜炎は、まぶたの内側にある粘膜で炎症が起きると、目に痒みや痛みがでます。
そのためしきりに目を気にしているような仕草をしたり、目の周りが目ヤニで汚れてしまい目が開かなくなってしまったりします。
目が痒い時に目を引っ掻こうとして、手で擦ったり、物に押し付けてしまうと、細菌が入ったり新たな傷の原因となってしまうこともあるため、結膜炎になっている時はエリザベスカラーを使用して、目を擦ることができないようにしたほうが良いでしょう。
原因
結膜炎の原因は、主に猫ヘルペスウイルスによるもの、カリシウイルス、クラミジア、マイコプラズマなどが考えられます。
猫ヘルペスウイルスが結膜炎を引き起こす主な原因と言われ、症状が続くと細菌が更に体内で広がってしまう可能性があります。
また、子猫など免疫力が弱まっている猫はカリシウイルスにかかりやすいと言われています。
これらの感染症はくしゃみなどの飛沫感染をする非常に感染力の高いウイルスです。
多頭飼育をしている方であれば、1匹に結膜炎の症状が出た場合は治るまで隔離してあげることが感染を広めないためには大切です。
そのためには、猫の体調が悪くなった時は、いち早く飼い主さんが気づいてあげて、早期に治療を受けるようにしましょう。
予防・治療
結膜炎の原因を探りそれに適した治療を行うことが基本です。
一般的には目ヤニなどをキレイに洗浄し、抗生剤や消炎剤などの点眼薬を使用して治療を行います。
原因が感染症の場合には、その原因となった感染症の治療も平行して行っていきます。
結膜炎は、猫ヘルペスウイルスなどの感染症が原因によることが多いため、その感染症を予防するワクチンを摂取することで防ぐこともできるのです。
また、普段から目を清潔に保ってあげることや室内飼育にすることで予防効果もあります。
しかし多頭飼育している方であれば猫同士ケンカすることもあるため、少しでも外傷の原因を減らすために、家の中でそれぞれの猫がひとりになれる場所を作ってあげることも大切です。
眼瞼炎
眼瞼炎とは、まぶたの周辺に炎症が起こった状態のことです。
上のまぶた、下のまぶたの両方で発症してしまうこともあります。
細菌や真菌、ヒゼンダニ、ニキビダニなどの寄生虫の感染や、他の猫とのケンカ、虫刺され、ヤケドなどが原因でまぶたに炎症を起こすことがあります。
また、アレルギーや免疫介在性の皮膚炎などが原因となることもあります。
眼瞼炎になると、目の周りが赤く腫れる、目の周りの毛が抜ける、涙の量が増えるなどの症状が出ます。
これらの症状が出たあと、早めに治療を受けないと、目の周りが化膿したりと症状が悪化していきます。
眼瞼炎の治療は発症の原因にもよりますが、発症原因を特定して、それに合った治療方法を行います。
症状
眼瞼炎の主な症状として、
- 目が痒そうな仕草をする
- 目の周りが赤くなる
- 目の周りの毛が抜ける
- 目をしょぼしょぼさせる
- 涙の量が増える
などが上げられます。
眼瞼炎は、目の周りの皮膚が炎症を起こしてしまう皮膚病です。
そのため、目が痒くなりその周辺を掻こうとして余計に赤くなってしまったり目の周りの毛が抜け落ちてしまうこともあります。
飼い主さんが毎日愛猫の健康チェックをしていれば比較的に気づきやすい症状です。
猫がまぶたの周辺を引っ掻こうとしてそれが目に入り結膜炎や角膜炎を引き起こしてしまうこともあるため、まぶたなどの異変が出た場合は、すぐにでも病院へ連れて行くようにしましょう。
原因
眼瞼炎の原因は、細菌や真菌の感染によるもの、またはヒゼンダニやニキビダニなどの寄生虫の感染によるもの、全身性の皮膚炎が原因でそれがまぶたにも現れるなどが考えられます。
他には外的要因として、他の猫とのケンカ、目の擦りすぎ、ヤケドや虫刺されなどが原因となることもあります。
また、元々アレルギー体質な子、免疫介在性の皮膚炎がなど他の病気がきっかけとなり発症するケースもあるのです。
眼瞼炎の原因の多くは外飼いなど外で生活させている猫に多く、眼瞼炎の原因を取り除くことは難しいのです。
さらに先天的や後天的にまぶたに異常があると炎症の引き金となることもあります。
ペルシャやヒマラヤンやバーミーズの猫種は眼瞼炎にかかりやすいと言われています。
予防・治療
眼瞼炎の場合は他の疾患により引き起こされていることが多いため、その引き金となった病気を治療することが優先となります。
感染症が原因の場合は抗生物質や抗真菌薬を投薬します。
眼瞼炎を予防するためには、猫の生活環境を清潔に保つことが大切です。
原因となるアレルゲンなどは猫の生活環境の様々なところに存在しているため、こまめに掃除を行うなど環境を清潔にすることを心がけましょう。
また、全ての病気を予防することは難しいですが、定期的に感染症のワクチン接種を行ったりすることも大切です。
愛猫の目の周りが赤い、痒そうにしているなどの症状が出た場合は、放置せずにすぐにでも病院へ連れて行くようにしましょう。
早期から治療することで治りも早くなります。
ものもらい
ものもらいは、正確には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と言い、目のふちに沿って並んでいるマイボーム腺と言われる器官が炎症を起こした状態を言います。
マイボーム腺は、猫の涙液の油分を分泌して、涙液の蒸発を防ぐ役割をしている器官のことです。
そのマイボーム腺に細菌や真菌が感染し炎症が起こることで、目のふちやまぶたにイボ状のニキビのようなできものができます。
できものがまぶたの内側にできた場合は角膜を刺激するため、角膜炎の原因となることもあります。
ものもらいになると猫のまぶたが腫れたり、痒そうに引っ掻くような仕草をします。
そういう場合には、エリザベスカラーを使用し目の周りに触れさせないようにすると良いでしょう。
ものもらいは、感染症ですので基本的には抗生剤の点眼薬や内服薬で治療を行います。
症状
ものもらいの主な症状として、
- ニキビのようなイボ状のできものが目の周辺に現れる
- 目を痒そうにしょぼしょぼさせる
- まぶたが腫れる
- 目が充血する
などが上げられます。
ものもらいはマイボーム腺といい、目のふちにある器官が炎症を起こし発症しますが、できものが出来た時にそれが目の周りなのか、目の粘膜の近くなのかで症状が分かれます。
まぶた付近にできものが発生した場合は、まぶたが腫れるなどの症状が出ますし、目の内側付近にできものが発生すると目が充血するといった症状がでます。
特に注意が必要なのが、上記でも説明した通り目の内側にできものが発生した場合は角膜を傷つけてしまい角膜炎を発症する原因ともなってしまいます。
そのため、ものもらいが目の内側にできた時はできる限り早めに治療を受けさせるようにしましょう。
原因
ものもらいは、猫の目のふちにあるマイボーム腺が細菌や真菌などウイルスがなんらかの原因で入ってしまい炎症を起こした状態のことを言います。
マイボーム腺は猫の涙液の油分や涙液の蒸発を防ぐ役割をしていますが、細菌が感染するとマイボーム腺が詰まり炎症を起こしてしてしまいます。
細菌の程度によってはまぶた全体が腫れるほどの大きなイボができることもあるようです。
ものもらいは、失明や視力障害が出ることはほとんどありませんが、イボができる場所によっては角膜炎など他の病気を併発してしまうこともあります。
そのため、まぶたが腫れている、目のフチにイボ状のできものができているのを発見したらすぐに病院へ連れて行くようにしましょう。
予防・治療
猫のものもらいの場合、一般的には抗生剤の内服や点眼薬を使用して治療を行います。
ものもらいになった原因が感染症によるものであれば、その感染症の治療も平行して行います。
ものもらいの予防には目の周りを清潔に保つことが必要です。
また、ものもらいはマイボーム腺に皮脂が詰まりイボ状のできものが出来てしまう病気ですが、マイボーム腺が詰まらないように温めることが効果的なようです。
もし飼っている愛猫にものもらいができやすいのであれば、濡らしたハンドタオルをレンジで温め愛猫の目に置いておくと良いようです。
血流を良くすることでマイボーム腺に皮脂が詰まらないようにする効果があります。
そして、愛猫の目になにかしら異変を感じた場合はすぐにでも病院を受診するようにしましょう。
他の病気を併発してしまう可能性もあるため決して放置はしないようにしてください。
ブドウ膜炎
ブドウ膜炎とは目の中に炎症を起こす病気の総称で、様々な原因で起こります。
内眼炎とも言われることがあり、原因は外傷、感染症、腫瘍、過敏症、突発性と分けられます。
眼の組織であるブドウ膜は眼球の他の部分と比べると血管が多く、炎症の原因がぶどう膜そのものにある場合だけでなくても、周辺組織や全身の他の臓器に起こった炎症に伴いブドウ膜炎となることもあります。
そのため原因を特定するには眼科検査以外にも血液検査を行うこともあります。
ブドウ膜炎の主な症状は、瞳孔が小さくなる、白目の部分が充血する、眼圧が低下する、痛むなどです。
ですが、ブドウ膜炎の場合、すぐに完治するものや失明に至ってしまうほど重症なものまで様々あります。
症状
ブドウ膜炎の主な症状として、
- 白目が充血する
- 眩しそうな仕草をする
- 目を痛そうにしょぼしょぼさせる
- 涙や目ヤニの量が増える
- 物によくぶつかる
などが上げられます。
上記でも説明した通りブドウ膜炎は様々な原因により発症します。
そのため他の炎症と同じような、充血する、目を痛そうにする。涙や目ヤニの量が増えるといった症状もでますが、目の中にモヤがかかるように見えたり、虹彩の色が変化するなどといった症状もでます。
また視力が低下することもあるため、よく物にぶつかったり、段差に躓いてしまったりといった症状も出ます。
さらに炎症がブドウ膜炎だけでなく、網膜に及んでしまうと白内障や緑内障を引き起こすこともあり、最悪の場合は失明に至ることもあります。
原因
ブドウ膜炎の原因は様々あります。
外傷によるものであれば、猫同士でのケンカや異物が入ってしまうなどが原因として考えられます。
目以外の原因ですと、感染症である猫エイズウイルスやトキソプラズマ、全身性真菌感染症、結核菌が上げられます。
また腫瘍であればリンパ腫、過敏症であれば強いアレルギーなどが原因となります。
ブドウ膜炎は眼球の他の部分より血管が多いため、全身の別の臓器で起こった炎症でも、反応してブドウ膜炎が炎症を起こすこともあります。
このようにブドウ膜炎には様々な原因があり、症状にも違いがあります。
そのため、症状だけで原因を特定するのは難しい病気です。
異変を感じた場合は、すぐに診察や検査を受けるようにしましょう。
予防・治療
原因によって治療方法が異なるため、まずは原因を特定することが大切です。
目が直接の原因となっている場合は眼科検査だけで済みますが、感染症が原因の場合は血液検査や超音波検査が必要となります。
治療には、ブドウ膜炎の原因となった病気と平行して抗菌剤や消炎剤の内服薬、または点眼薬を使用して治療を行います。
猫のブドウ膜炎は目の病気だけでなく、全身に病状が現れる全身性の疾患が原因となることが多いため、予防するには感染症に対するワクチンを定期的に接種することが大切です。
また、定期的に健康診断を受けることや日々の食事の栄養管理をしっかり行うことで免疫力を上げることが病気の予防へも繋がります。
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